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(Vol.01)
睡眠データでカプセルホテルをウェルネス施設に
松井 隆浩
株式会社ナインアワーズ
元代表取締役CEO

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Takahiro Matsui

スタイリッシュなデザインでカプセルホテルの概念を覆したナインアワーズが今「睡眠」に力を注いでいる。宿泊客の睡眠データを収集し、科学的な解析レポートとして提供。さらに集めたデータを企業などに提供している。睡眠事業を牽引してきた元代表取締役CEOの松井隆浩さんに狙い、そして思いを伺った。

※本記事は、当社より「/zeroz(ゼロズ)」テスト品を提供し、依頼したインタビューを編集して掲載しています。

※インタビューは2025年7月に行われ、記事内の発言・内容は取材当時、松井隆弘さんが代表取締役CEOを務めていた際のものです。

スタイリッシュなデザインでカプセルホテルの概念を覆したナインアワーズが今「睡眠」に力を注いでいる。宿泊客の睡眠データを収集し、科学的な解析レポートとして提供。さらに集めたデータを企業などに提供している。睡眠事業を牽引してきた元代表取締役CEOの松井隆浩さんに狙い、そして思いを伺った。

※本記事は、当社より「/zeroz(ゼロズ)」テスト品を提供し、依頼したインタビューを編集して掲載しています。

※インタビューは2025年7月に行われ、記事内の発言・内容は取材当時、松井隆弘さんが代表取締役CEOを務めていた際のものです。

  • 東京大学卒業後、アクセンチュア株式会社に入社、シニアマネージャーを務める。その後勤務した株式会社リヴァンプにて「ナインアワーズ」を支援したことをきっかけに株式会社ナインアワーズを創業し代表取締役に就任。多店舗展開を推進した。2021年からカプセルホテルでの睡眠事業を展開し、健康への気づきを促す社会の実現をめざして尽力。2025年12月に代表取締役を退任。

    株式会社ナインアワーズ 元代表取締役CEO

    松井 隆浩(まつい たかひろ)

Vol.01

睡眠データでカプセルホテルをウェルネス施設に

株式会社ナインアワーズ
元代表取締役CEO

Takahiro Matsui

(01)

デザインの力で女性客を獲得。
選ばれるカプセルホテルになる

創業時、ナインアワーズがデザインに力を入れたのは従来のカプセルホテルとは違うユーザー層を獲得するためだったと松井さんは振り返る。

「かつてカプセルホテルは終電を逃した人が仕方なく泊まるイメージでした。このイメージから脱却し、新たなユーザー層、特に女性にご利用いただける施設を作るためにデザインの力を借りました」

ホテル作りではプロダクトデザインを手掛けた柴田文江さんの感性が存分に発揮された。

「浴場やカプセル内のテレビなど、カプセルホテルに必須だと思われていた要素を柴田さんは女性目線でそぎ落としていったんです」

結果、ナインアワーズは利用者の中心が20~30代で、女性客が多いカプセルホテルとなる。何より仕方なくではなく、宿泊客から自発的に選ばれる施設になった。

「国内外のデザイン賞を受賞するなど、話題にもしていただき、おかげさまでナインアワーズは順調に棟数を増やすことができました」

ところが、松井さんはデザイン性だけでは今後の生き残りが難しいと懸念している。

「ホテル事業は差別化が難しく、デザインの優位性もいつ追いつかれるか分からない。実際に我々の成功の後にデザインに力を入れたカプセルホテルが増えた時期もありました」

(02)

自分の睡眠について深く理解できる
ウェルネス施設へと進化

そこで松井さんが着目したのが「睡眠データ」だった。

「新たな差別化のために考えたのが、カプセル内で科学的な睡眠データを収集し、お客様にお伝えする『睡眠解析サービス』の提供です」

「睡眠解析サービス」ではカプセル内に設置されたセンサー、マイク、カメラで利用客の睡眠を測定し、結果をレポートとして提供している。

「デザイン性の高い宿泊施設という価値にとどまらず、お客様がご自身の睡眠について深く理解できるウェルネス施設としての価値を提供することで差別化を図りました」

サービス開発のために睡眠に詳しい専門家に話を聞く中で、松井さんは睡眠が不調の入り口になりやすいことを知る。

「お客様が健康状態を意識するきっかけとなることも、このサービスの使命だと考えるようになりました」

2021年に1店舗の提供でスタートしたこのサービスは、現在6店舗まで拡大。遮音性の高い新型カプセルを導入するなど、進化を続けている。

「カプセルは必要に応じてセンサーやカメラを入れ替えられるように設計しています。半導体の進化に伴ってプロダクトを進化させてきた自動車や電子機器のように、カプセルもその時々で最適なデバイスを採用し、進化させるべきだと考えたんです」

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自分の睡眠への
関心を高めるサービスへ

利用客からは「こういうサービスがほしかった!」といったポジティブな反応が多いと松井さん。

「自分の睡眠を知りたいというニーズは驚くほど多く、年間100万人近くの方にサービスをご利用いただいています」

画像や音声が記録されるなどプライバシーに関わるため利用客には同意書へのサインを求めているが、離脱するのはわずかに2割ほど。

「眠りを知りたいというニーズに加え、カプセルホテルのお客様はプライバシーを過度に気にされない傾向があることも離脱が少ない要因でしょう。離脱率に男女差はなく、性別に関係なくニーズがあることが分かります」

現在は睡眠中の心拍数、寝返りやいびきの回数、呼吸が止まる回数や長さなどの項目をレポートで提供している。

「特に呼吸に関心を持たれる方が多く、家族から寝ているときに呼吸が止まっていると指摘されて来られる方もいらっしゃいます。こうした際は、まず医療機関で受診いただくことが重要ですが、このサービスが睡眠への関心を高めるきっかけになっていると感じています」

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睡眠データの提供で
研究開発や社会課題解決に貢献

実は「睡眠データ提供サービスプラン」は、通常の宿泊プランと料金は同一。ナインアワーズの睡眠事業では匿名性を確保した睡眠データを企業に提供することなどで収益を上げている。

「最初は純粋にお客様にデータを提供するだけの事業として考えていたのですが、サービスの準備段階から、企業などから驚くほどのデータ提供依頼が舞い込みました。睡眠はプライベートなことなのでデータが圧倒的に不足していることをその時点で知りました」

ナインアワーズにしか取れない睡眠データは、睡眠関連事業を手掛ける企業の研究開発などを通じて社会課題の解決に役立てられている。

「睡眠は健康に深く関係することなのにデータがなくて研究開発が進んでいない。社会課題の解決につながるなら貢献したいと提供に踏み切りました」

企業などに提供するデータは基本的に研究目的ごとにカスタマイズして収集している。データの収集期間は限定されるが、それでもビッグデータ化できる数を確保できるのがナインアワーズの強みだ。

「ある製品と睡眠傾向の関連を把握したい場合、ナインアワーズでは2週間で数千人分のデータ収集が可能です。企業の商品開発の参考データとしては、非常に大きなサンプル数と言えるでしょう」

Vol.02

健康に満ちた世界を実現するために

株式会社ナインアワーズ
元代表取締役CEO

松井 隆浩