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(Vol.01)
働き方改革で従業員のライフを充実させ、
組織を成長へと導く
大塚 万紀子
株式会社ワーク・ライフバランス
取締役/パートナーコンサルタント

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Makiko Otsuka

「働き方改革」という言葉が浸透する前から日本の組織にワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を根付かせてきた大塚万紀子さん。今の仕事をはじめた思い、ニーズの無い時代にどう働き方改革を推進していったのか、今大塚さんが注目する「働く人の睡眠」などについて語っていただいた。

※本記事は、当社より発売前の「/zeroz(ゼロズ)」テスト品を提供し、依頼したインタビューを編集して掲載しています。

※インタビューは2025年8月に行われ、記事内の発言・内容は取材当時のものです。

「働き方改革」という言葉が浸透する前から日本の組織にワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を根付かせてきた大塚万紀子さん。今の仕事をはじめた思い、ニーズの無い時代にどう働き方改革を推進していったのか、今大塚さんが注目する「働く人の睡眠」などについて語っていただいた。

※本記事は、当社より発売前の「/zeroz(ゼロズ)」テスト品を提供し、依頼したインタビューを編集して掲載しています。

※インタビューは2025年8月に行われ、記事内の発言・内容は取材当時のものです。

  • 楽天株式会社を経て、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。業績を上げるための「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」を実現すべく、パートナーコンサルタントとして組織の働き方改革を推進。厚生労働省「ワークライフバランス事業」検討委員、経済産業省中小企業庁人財戦略会議委員などを歴任。自らも二児の母として管理職でありながら短時間勤務を経験。宝塚歌劇団やバンドなどの推し活にも励む。

    株式会社ワーク・ライフバランス 取締役/パートナーコンサルタント

    大塚 万紀子(おおつか まきこ)

Vol.01

働き方改革で従業員のライフを充実させ、
組織を成長へと導く

株式会社ワーク・ライフバランス
取締役/パートナーコンサルタント

Makiko Otsuka

(01)

女性が働き続けられない
社会を変えたいと20代で起業

2003年に新卒で就職した大塚さんは、当時の会社で性別や年齢に関係なく評価される環境で充実の日々を送っていたが、次第に将来への不安がちらつくようになる。

「仕事は心から夢中になれたのですが、『結婚して出産しても働き続けられる職場にいたい』『かけた時間だけでなく、私自身を評価してくれる場で働きたい』と30歳くらいで会社を辞める先輩たちが目に付きはじめました。時間をフルに仕事に捧げられる20代はいいのですが、周りが長時間労働で、何かライフイベントが発生して働く時間が短くなると、仕事で成果を出していると思っても正当な評価をうけているのか不安になる環境だったんです」

疑問に思い社外の環境を調べた大塚さんは、日本企業はどこも時間を犠牲にしないと正当に評価を受けながら働き続けることができないという現実を知る。

「長時間労働できることが評価の前提になっているということが、社会全体の問題だと気づいて愕然としましたし、変えなければいけないと強く思いました。それで代表の小室と働き方改革を支援する会社を立ち上げることにしたんです」

働き方について勉強を重ねた2人が立ち上げた会社は、その名も株式会社ワーク・ライフバランス。

「日本には優秀な女性が多いにもかかわらず、一定の年齢になると社会が能力を活かせなくなる。当時欧米で注目されていたワーク・ライフバランス(以下「WLB」)という考え方がポイントになると思ったんです」

(02)

まずは自社で働き方改革を徹底し、
そのノウハウをお客様に提供

起業したのは「働き方改革」や「WLB」という言葉が浸透していない2006年のこと。育児休暇から職場復帰する女性社員の支援からスタートした。

「私も小室も女性なので、そういったニーズを足がかりにお仕事をはじめたのですが、すぐに男女関係なく長時間労働が多くの課題の原因になっていることを実感しました」

現在の日本は人口オーナス期*で組織の成長には老若男女問わずさまざまな能力の活用が不可欠。だから長時間労働は不向き。知識として知っていたことが目の前に課題となって表れた。
人口オーナス期:生産年齢人口が減少し、人口構成が経済成長を阻害している状態。日本は少子高齢化の影響で1995年をピークに生産年齢人口が年々減少している。

「成長には長時間労働はマイナスだとご説明して、働き方改革のコンサルティング業務をはじめました。まずは私たち自身が労働時間を減らす工夫をして、全員6時に退社、有給も100%消化する。労働時間の短縮は簡単ではないので、さまざまな工夫が必要になります。その工夫をノウハウとしてお客様に提供していきました」

およそ20年にわたって働き方改革に取り組んできた大塚さん。浸透しつつあるWLBだが、いまだ誤解も根強いと言う。

「『仕事』と『家庭』のバランスだけをイメージする人が多いんです。でも家族の有無にかかわらず、誰にでもライフはあります。たとえば、社外での学びの時間や成果を出すための健康管理などもそのひとつ。そうしたライフの充実によってエネルギーやアイデアを得て、ワーク(仕事)へと還元する、このシナジーがWLBの本質です」

(03)

予定を立てる、心理的安全性を高める。
WLB推進のために組織にできること

しかし、シナジーはいきなり起こるものではないと大塚さん。

「これまで長時間労働だった従業員に組織が時間をお返しすると、まずしっかり休むことをおすすめします。休息が取れたら次に遊ぶ。自分なりに関心・興味のあることに触れることでアイデアを得はじめる。遊びが一段落すると勉強してスキルを身に付けはじめるなど、シナジーは段階的に起こります。いち早く時間をお返しした方が最終的には組織のためになります」

労働時間短縮のノウハウは多岐にわたるが、どんな組織でも取り組みやすいのが「一日の予定を立てること」だと大塚さん。

「毎朝出社したら今日は何時から何時までに何の業務をするか予定を立て、退社時に振り返ります。時間までに終わらせる意識が高まる上、振り返りで意外な無駄を発見でき、私の経験上、これで2割くらい残業を減らせます」

また、組織内の「心理的安全性」を高めることも重要になってくる。

「労働時間を短縮するには組織内で助け合いながら業務を推進する必要があります。そのためにはメンバー一人ひとりが安心して、能動的に情報を発信できる環境が望ましい。たとえば弊社では有給取得の理由を問いません。理由を伝えるくらいなら休まず働くというマインドになるのを防ぐためです」

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WLBを定着させるために
大塚さんが今注目する「働く人の睡眠」

働き方改革を実現し、WLBを定着させるには生産性の向上が不可欠。そのために大塚さんが最近特に注目しているのが「働く人の睡眠」だ。

「ある研究によると人が集中力を発揮できるのは目覚めてから13時間まで、その後は酩酊状態と変わらないほど低下するそうです」

別の700社を対象に実施した調査では睡眠時間が長い企業ほどROE(自己資本利益率)が高いという結果が出たと言う。

「日本の組織は睡眠時間を削ってがんばってきましたが、実はしっかりと睡眠を取った方が業績が良くなることがわかったんです」

睡眠がメンタルにおよぼす影響にも大塚さんは注目している。

「メンタルヘルスの維持には7〜8時間の睡眠が必要のようです。また、睡眠時間が短いリーダーほど対人関係において厳しい対応を取りやすい傾向があるとされており、ポジションが高い人ほど睡眠の質と量を意識することが大切です」

7〜8時間の睡眠時間を確保するためには残業の削減、つまり働き方改革が重要になってくる。

「結局は組織全体、特に経営層やマネジメント層が効率を上げて労働時間を減らすというマインドに切り替わることが重要だと思っています」

Vol.02

ワークにもライフにも欲張って
取り組んで、生まれ変わり続ける

株式会社ワーク・ライフバランス
取締役/パートナーコンサルタント

大塚 万紀子